さっきも言ったのに!何度叱っても聞かない子どもにイライラする前に知っておきたいこと

前回の記事では、行動は先行刺激(A)→ 行動(B)→ 結果(C)で決まるという、ABAの基本を紹介しました。

この考え方に触れると、こんな疑問がわいてくるのではないでしょうか?

叱られるというイヤな結果があるなら、おしゃべりは減るのでは…?

でも実際には、

叱ればやめるけど、しばらくしたらまたおしゃべりが始まる…

何度言っても同じことを繰り返している…

こんな場面が多いのではないでしょうか。

叱られているのに、なぜ行動が変わらないのか

どうして同じことが繰り返されるのか

今回はこの疑問について解説していきます。

目次

叱られるのに、望ましくない行動を繰り返すのはなぜ?

まず第一に伝えたいのは、

叱る(C)= 行動を弱める

は、必ずしも成立しないということです。

叱った直後には一瞬静かになるため、コーチ側からは「叱る」という行為が効果的に見えます。

しかし、「静かに話を聞く」という学習は成立していません。

行動が再発するということは、

叱られたかどうかではなく、

「叱られる直前の行動」が、子どもにとって望ましい結果(目的)を満たしてしまっている

ということです。

…??????

少しはてなが浮かんだかもしれませんが、もう少しお付き合いください。

行動には、目的(行動の機能)がある

先述した「望ましい結果(目的)」は、ここで説明する「行動の機能」です。

叱ってもおしゃべりが続く理由はここにあります。

ABAでは、行動は必ず何かを得るため/何かを避けるために起こると考えます。

これをABAでは「行動の機能」と呼びます。

代表的な4つをご紹介します。

①獲得(要求)…欲しいもの・活動・状態を「手に入れる」ための行動

  • お菓子が欲しくて癇癪を起こす
  • 好きな練習に早く進みたくて、説明を聞かずに動き出す
  • 使いたいボールを選ぶために割り込む

②逃避…嫌な刺激・状況・課題から逃れるための行動

  • 難しいトレーニングになるとトイレに行きたがる
  • 宿題が嫌で教科書を投げる
  • 注意を受けそうになると走り出してごまかす

③注目…大人・友だち・指導者などの「注目」を得るために行動する

  • 褒められたくて成果を見せる
  • 気を引きたくて大声を出す
  • こっちを見てほしくてわざと失敗する

④感覚(自己刺激)…外的な目的がなく、感覚的に心地よい・落ち着くから起きる行動

  • 貧乏ゆすりをする
  • ボールを無意識に触り続ける
  • ぐるぐる回る遊びを何度もする

練習中のおしゃべりで、何が起こっているのか

「おしゃべり」という行動をこの4つに当てはめてみます。

①獲得(要求)

→ 友だちと話したいからおしゃべりする

②逃避

→ 説明を聞く時間が苦手で、おしゃべりをすれば中断できる

③注目

→ おしゃべりをするとコーチ(とみんな)に注目してもらえる(叱られる)

④感覚

→ 話すこと自体がテンションの上がる内部報酬

つまり、

叱っても行動が変わらない

のではなく、

行動が「目的を果たしている」から変わらない

ということです。

さらに、②や③が目的でおしゃべりという行動が起きている場合、

「叱る」という行為そのものが行動の目的を満たすケースもあることがお分かりいただけたかと思います。

「叱る」の最も危険な点は、指導者側の行動が強化されること

叱るという行動は、叱っても状況が改善しないだけではなく、

叱るという指導者側の行動が強化・増強してしまう危険性をはらんでいます。

ここで、「叱る」という行動の指導者側のABCについて考えてみます。

するとこの一連の流れで指導者は

  • 叱れば場が締まる

と誤学習することになります。

しかし先述したように、叱ることで状況が一瞬改善したように見えても、

叱られた側の目的が果たされている限り行動は何度でも繰り返されます。

するとこんなことが起こります。

叱る

一瞬静かになる

叱られることに慣れ、元に戻る

さらに強く叱るようになる

という調子で、指導者が叱る強度がエスカレート・増強していく危険をはらんでいます。

「このくらい強く叱れば静かになる」という経験が強化されることで、その強さが基準になってしまうのです。

しかし次第にその強さでも効かなくなり、さらに強く叱るようになる…。

叱る行動がエスカレートした先に何が起こるのかは、想像もしたくありません。

行動を変えるには、「叱る」以外のデザインが必要

叱ること自体が悪いわけではありません。

間違った行動を止めるために、叱らなければならないときもあるでしょう。

ただし、叱るだけでは子どもに望ましい行動の学習が生まれないということを認識しておく必要があります。

行動を変えるには、

  • 行動の機能(先ほど挙げた4つ)を見立てる
  • 望ましい行動が出やすい環境を先に整える
  • 望ましい行動が出た瞬間に強化する
  • 指導者側の選択肢(叱る以外の)を増やす

といった、環境(先行刺激)と結果のデザインが欠かせません。

まとめ

行動は、目的(行動の機能)が満たされている限り続きます。

つまり、「叱る」だけでは行動は変わらず、むしろ「叱る」という行動が目的を満たしてしまう可能性もあります。

指導者がABAの視点を持ち、望ましい行動が出やすいように環境を操作する必要性がお分かりいただけたのではないでしょうか。

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