育成年代の指導現場で、こんな悩みを感じたことはないでしょうか。
- 失敗を恐れて消極的になる
- 無難な選択ばかりしてしまう
- 本当はできそうなのに、チャレンジしない
こんな場面に対して、

失敗してもいいからチャレンジしようよ!
と声をかけた経験がある指導者の方もいるのではないでしょうか?
しかし、そのような声がけでも、行動が大きく変わらないことは珍しくありません。
以前の記事で、行動は下記のように決まることをお話ししてきました。


今回も同じように、「先行刺激」「結果」に注目し考えてみましょう。
なぜ、チャレンジできない選手が生まれるのか。
今日はその背景を、「環境(先行刺激)」と「結果」の視点から整理してみます。
失敗を恐れるのは、過去の学習の結果
チャレンジを避ける選手を見ると、



消極的な選手だな…



メンタルが弱いのかな…
こんな風に考えてしまいがちです。
しかし、応用行動分析(ABA)の視点では、行動は常に下記の積み重ねで作られます。


- 失敗したら、注意された
- ミスをすると空気が悪くなった
- 周囲から笑われた
- 評価が下がった
このような結果(C)が繰り返されると、選手は自然と学習していきます。



失敗する(ような行動をとる)と、損をするんだ。



それなら無難な行動をとった方が安全だな。
これは、単なるその場の感情ではなく、
経験に基づく合理的な行動選択です。
つまり、チャレンジをしないという行動は、
性格の問題ではなく、これまでの環境で「強化されてきた行動」だと言えます。
「失敗してもいいよ」が機能しない理由
では、



失敗してもいいからチャレンジしようよ!
という声がけが、行動につながらないのはなぜでしょうか。
ABAの視点で考えると、答えが見えてきます。


言葉では「失敗してもいい」と言われていても、
- 失敗後すぐに止められる
- ミスの直後に表情が曇る
- 成功したときよりも反応が薄い
このような結果(C)が繰り返されれば、



やっぱり失敗は避けた方がよさそうだ。
と学習します。
つまり問題はどんな言葉をかけるか(先行刺激)ではなく、
失敗後にどんな結果が返ってくるかです。
チャレンジを引き出す環境設計の考え方
チャレンジを増やすために必要なのは、勇気を教えることではありません。
ABAの観点で言えば、
チャレンジという行動(B)が選ばれやすい、先行刺激(A)と結果(C)を整えること
です。
少し難しく聞こえたかもしれないので、具体的に言い換えてみます。
- 成功率が極端に低くならない設定にする
- 結果だけで評価しない文化を作っておく
- 成功・失敗に関わらず、行動そのものが拾われる環境
これらが揃うと、チャレンジという行動が選ばれやすくなります。
逆に、成功率が低く、失敗の確率が高い環境では、選手は安全な行動を選択しやすくなります。
チャレンジは性格や意識によって決まるのではなく、事前の環境操作次第で選択しやすくなるのです。
失敗した直後の結果が次の行動を決める
チャレンジが継続されるかどうかを分けるのは、
失敗した直後にどんな結果が返ってくるかです。
ABAでは、行動の直後の結果(=強化子)によって、次の行動選択が決まるとお話ししたことを覚えていますか?


強化子とは、ある行動の直後に起こり、その行動を「次回も起こりやすくする結果」のことでしたね。
私は失敗が起きた直後、このような流れで声をかけることが多いです。



ナイスチャレンジ!



○○までは上手くできてたね!



次は○○まで意識できるといいね!
チャレンジした行動(B)に対して、
次もチャレンジが選ばれやすいような結果(C)を返すということを意識しています。
③だけでも強化子になりうると思うのですが、チャレンジ回数の少ない子に対しいきなり③を返すと、
失敗がダメだったと誤認されることがあると感じています。
だから私は、チャレンジという行動の頻度を増やしたい子に対しては、
意識的に①と②を伝えるようにしています!
まとめ:チャレンジを増やすのもまた、「環境」である
チャレンジできるかどうかは、性格や気持ちの強さだけで決まるものではありません。
行動は、これまでどんな結果が返ってきたかによって選ばれやすさが変わるのものです。
- 失敗したときの結果(C)をどう返すか
- 何(成功?過程?)を評価するのか
- 成功率はどのくらいにするのか
これらを調整することで、選手の行動は自然と変わり始めます。



もっとチャレンジしろよ!
と言いたくなったら、挑戦しても大丈夫な環境を設計できているのか、見直してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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