「話を聞けない子」は存在しない。存在するのは「聞きにくい環境」である。

皆さんは、こんなシーンを目にしたことはないでしょうか?

またあの子、横の子とおしゃべりしてる…

あの子、本当に話を聞けないなぁ…

多くの大人は、「話を聞けない=本人の問題」と捉えがちです。

しかし、行動分析(ABA)では、行動は以下のように決まると考えます。


「おしゃべりをしていて話を聞いていない」という状況を当てはめると、

こんな風に考えることができます。

…何当たり前のこと言ってるんだ?

と思った方も、ぜひもう少し話を聞いてください!

子どもが「聞かない・聞けない」ように見えても、

実は先行刺激(A)もしくは結果(C)のどちらかに問題があるだけです。

つまり!!!

先行刺激(A)もしくは結果(C)のどちらかを操作することで、

「聞かない・聞けない」という行動を変化させることができるんです!!!!!!(超重要)

今回の記事では、この仕組みを使って、「聞ける環境」の作り方を解説していきます!

目次

「話を聞けない子」という現象は、なぜ生まれるのか

そこ!ちゃんと話聞いて!

おしゃべりをする子に注意をしたところ、静かに話を聞くようになりました。

しかし、しばらく時間が経つと、その子は再びおしゃべりをし、こちらの話に注意が向かなくなります。

このような状況が繰り返されるのはなぜでしょうか?

①ラベリングにより、本来の原因を見逃している

先に上げたような状況が起きたとき、多くの大人はこんな風に思うのではないでしょうか?

何度言ってもあの子はダメだなぁ…

あの子は集中力がないんだな…

しかし、行動は「性格そのもの」で決まるのではありません。

特性が行動に影響することはありますが、どの行動が選ばれるかを決めるのは

あくまで環境(A)と結果(C)の組み合わせです。

②その行動が繰り返される環境がそろっている

先に述べたように、行動は以下のように決まります。

先行刺激:周囲の音、視覚刺激、指導場面の構造 etc…
行動:話を聞く/聞かない etc…
結果:褒められる、楽しい気持ちになる、叱られる、叱られるが注目を得られる etc…

子どもは必ず「もっとも得する行動」を選びます。

「得する」というのは、「強化子が得られる行動」という意味です。

つまり、「聞かない」という行動が起きているのは、

その中でもっとも強化される行動が「聞かないこと」である条件がそろっているというだけなのです。

③能力の問題ではなく、「環境の調整不足」だという視点が必要だった!

視点をこのように変えることで、「聞かない・聞けない子」の違った姿が見えてきたのではないでしょうか?

なぜその行動が繰り返されるのか、なぜその行動を選んでいるのかを

先行刺激と結果の観点から分析することで、

子どもを責める必要はなくなります。

「聞きにくい環境」を生み出す根本原因(ABAの観点から)

望ましくない行動が繰り返されている原因は、2つの観点から分析することができます。

①先行刺激(A)が多すぎる

  • 雑音、視覚ノイズ、周囲の動きなど

注意資源(注意力)が分散し、「聞く」という行動を取りにくくなる

②結果(C)の設計が弱い

  • 聞いてもメリットがない(行動が強化されない)
  • 聞かなくても報酬が生じている(望ましくない行動の強化)

つまり、このどちらかあるいは両方を調整することで、望ましい行動を引き出せるようになるのです。

聞ける環境をつくるための実践ステップ

STEP
先行刺激を整える(ノイズを消す)
  • 見えるもの、聞こえるものを整理する
  • 指導者の立ち位置、声の届き方を調整する
  • 聞く行動がもっとも起こりやすい状況を先に整える

ex) 隣のスクールが気になるなら見えないように、隣のお友達が気になるなら離れた列へ

STEP
望ましい行動(B)が出た瞬間に結果(C)で強化する
  • 聞けた(行動)=すぐ強化(結果)
  • 結果が変われば、次回の行動も変わる

ex) きちんと聞けた瞬間に「静かに聞けてていいね!」など。即時かつ具体的に

実際にあったケースを紹介(ABAで解釈する実例)

年長さんのMちゃんはレッスン中、コートの外へ走り去ってしまうことがありました。

その時の状況は以下の通りです。

レッスン中に関係のない方へ走り出す
お母さんが慌てて追いかける
さらに逃げる
さらに必死にお母さんが追いかける

私はこのように解釈しました。

「注目」は非常に強力な強化子なので、行動が維持されやすくなります。

👇詳しくはこちらの記事の「行動の機能」の項で解説!

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次に同じ状況が起きたとき、私はまず「逃げる」という行動がこれ以上強化されないように、環境を調整しました。

逃げても、「注目」という強化子が与えられないようにしたのです。

すると、逃げ出したMちゃんは、立ち止まりました。

あれぇ?お母さん、追いかけてこないなぁ…。

そしてゆっくりとこちらに戻ってきました。

私はその瞬間、Mちゃんが自らレッスンへ戻ってこられた行動を、しっかりと強化しました。

お母さんにもポジティブな声かけをお願いしました。

その後、

  • レッスンの難易度を調整する
  • 成功を積みやすい環境に改善する
  • 成功した行動を丁寧に強化しつづける

といった流れで、Mちゃんがレッスンから脱走することはなくなりました。

つまり、状況が下記のように操作されたのです。

■介入前

■介入後

Mちゃんは4年生になり、いまではレッスンが大好きです。

Mちゃんは「話を聞けない子」「脱走癖のある子」ではなく、

ただMちゃんがそう行動してしまう環境があっただけなのです。

もっと楽しいことがたくさん起きる環境を整えれば、行動は変わります。

まとめ:ただ「話を聞きにくい」という環境が存在するだけ

このように、行動分析(ABA)の基本から見れば、「話を聞けない子」は存在しません。

行動は常に先行刺激(A)と結果(C)の影響を受けているにすぎません。

つまり、大人が「行動の前後の状況(AおよびC)」を操作することで、変えられる部分が多いということです。

子どもが持つ特性が行動の出方に影響することはありますが、

「どう行動が変わるか」を最も左右するのは環境(A)と結果(C)です。

環境が変われば、子どもは自然と「聞く・聞ける」ようになります!

行動分析(ABA)、めっちゃ面白くないですか!?

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