こんにちは。

コーチの永井です。

前回の記事では、運動指導を取り入れていない保育園のほうが運動能力が高かったという研究をご紹介し、

スクールのプログラム中に実際にお子さまが身体を動かしている時間がどのくらいあるのかが大切であるというお話をしました。

子どもの運動・スポーツ教室選びの3つのポイント

②遊びの要素と多様性はあるか

教室選びのポイント2つめは、「遊びの要素」と「多様性」です!

順番に解説していきます。

幼稚園で行われている運動指導がどのくらい遊び要素を含んでいるかを調査し、運動能力との関連性を明らかにした研究があります。

遊び要素の程度によって、低群中群高群の3群に分け運動能力との関連性を調査。

その結果、遊び要素高群が最も運動能力が高く、次いで中群、低群と遊び要素の高い運動指導を行っている幼稚園ほど運動能力が高かった

(杉原ら、2010)

つまり、幼児期の運動においては「遊び」の要素が多く含まれていることが運動能力を高めることがわかります。

幼児期には、子どもたちにプレッシャーをかけてスポーツをさせるのではなく、あくまで「遊び」を行う方が運動能力が高まるということです。

コーチとしては、子どもたちが夢中で楽しめる様なプログラムを提供したいところです!

 

別の報告では、子どもたちが自由に遊んでいる様子を観察し、遊びの中に見られる運動の種類と運動能力の関連性が明らかになっています。

運動能力テストの結果が高得点の子ども(高得点児)と低得点の子ども(低得点児)の自由遊びの様子を観察し、出現した基本動作の数を記録した。

その結果、高得点児は低得点児に比べ自由遊びの中でより多くの基本動作を出現させていた

(田中,2009)

つまり、遊びの中で多くの種類の基本動作を行っている子どもの方が運動能力が高いということです。

このことから、幼児期においては一つの動作の繰り返しではなく、様々な種類の動作を経験することが重要であると考えられます。

 

ということはつまり、子どもを自由に遊ばせておけばいいってこと・・・?

いいえ!ちょっと待ってください。

上記の研究では下記のように考察されています。

ボール投げ、ボールつき、閉眼バランスなどの運動能力は、基本動作数と関連がみられなかった。

日々の遊びの中に上記の要素が含まれた遊びを選択する子どもが少なかったために、高得点児と低得点児の差が表れなかった可能性がある。

このことから、子どもを放任するだけでは遊びの種類に偏りが出る可能性もあり、

多様な動きの中で運動能力を獲得するためには、大人の働きかけが必要である可能性が考えられます。

別の調査でも同じように報告されています。

幼稚園年長児の自由遊び中に見られる基本動作と運動能力の関連性を調査した。

その結果成績上位児は多様な種類の基本動作が確認され回数も多いことが分かり、低位児には少ないことが分かった。

観察中、「はしる・おいかける」は最も頻度の高い基本動作であったが、

「うしろむきにあるく・うしろむきにはしる」、「ふむ・ステップする」、「かわす・にげる」

は頻度が低い動作であった

また、ボールを「あてる・ぶつける」、「うける・とる」、「つく(はずませる)」動作の頻度が大変少なかった

(白金,2017)

つまり、幼児期に運動能力を高めるためには、さまざまな種類の動作を数多く経験することが必要です。

しかし、自由に遊ばせているだけだと運動の種類に偏りがある可能性があり、

出現しづらい運動パターンを大人が働きかけることで経験させることも必要であると考えられます。

このようなことを知った上でレッスンをご覧いただくと、また新しい発見があるのではないでしょうか。

 

今日は教室選びのポイント2つめについて解説しました。

検討中のスクールで行なわれているプログラムは、単一動作の反復になっていませんか?

種類が豊富なプログラムの中で、実施回数も十分に確保されていますか?

 

ジュニアアスリートアカデミーつくばでは「子どもたちが全力で遊びながらも多様な運動の種類を数多く経験すること」を目標にレッスンを実施しています。

ぜひ一度【体験レッスン】にお越しください!

 

教室選びの3つ目のポイントはまた次回ご紹介させていただきます。

 

参考文献:杉原隆・吉田伊津美・森司朗・筒井晴次郎・鈴木康弘・中本浩揮・近藤充夫 2010 幼児の運動能力と運動指導ならびに性格との関係 体育の科学, 60(5), 341-347.

田中沙織 2009 幼児の運動能力と基本的運動動作に関する研究-自由遊びに見る運動能力別の基本的運動動作比較の試み- 幼児教育研究年報,(31), 83-88.

白金俊二 2017 S幼稚園年長児の自由遊び中の基本動作と体力・運動能力の関係 松本短期大学研究紀要 (26), 3-11.